学びの視点 どうして変化に対応できない?日本企業 → 『「超」入門 失敗の本質』
1984年刊行の『失敗の本質』を、ビジネスの場で利用しやすくするために、必要なエッセンスを抜き出してまとめ直した『「超」入門 失敗の本質』。
どうして日本人は危機的状況や時代の変化に弱いのか?その日本的思考法や組織論に踏み込み、次の失敗を生み出さないようにするための指南の書です。
第2章は、日本的思考は、なぜ変化に対応できないのか?
第1章 戦略性
第2章 思考法
第3章 イノベーション
第4章 型の伝承
第5章 組織運営
第6章 リーダーシップ
第7章 日本的メンタリティ
※本書は、戦時中の日本軍の事例を取り上げて詳しく書いているのですが、ここではそういった部分は省き、ビジネスの場面に純化して話しを紹介していきます。
【「ゲームのルール変化」に弱い日本組織の仕組み】
日本組織の特徴
日本的思考の特徴は、一つのアイディアを洗練させていく錬磨の文化であると、本書では言っています。直感ですが、日本では、巧みの技や年長者の経験が重んじられる傾向があるようなので、間違いではないと思います。
この文化は、既存の知識を強化する学習、すなわちプロセス改善に重きを置くことが重要視されます。
「仮にプロセス=「過程、経過」と考えると、過程を洗練させる「プロセス改善」とはスタートラインとなる「思想・手法」を同じままに、その過程を最大限改良することで、結果をより良いものにしていく作業であるといえます。」(同書92頁)
では、接客販売をしているビジネスパーソンが売上を上げるために、「さらにプロセス改善で努力する」というだけでいいのでしょうか?
余談ですが、私の会社でも、売上を上げるために各地の営業マンを集めて「研修会」を開いてします。「他の人はどのようにしているのだろうか?」ということを学ぶことで、努力や改善の余地があることを気付かせるための場として、見事に機能しているように感じます。
日本組織の弱点と努力を無効化する仕組み
日本組織の特徴をあげてきましたが、ここでその弱点が明らかになります。
①前提条件が崩れると、新しい戦略を策定できない
②新しい概念を創造し、それを活用するという学習法のなさ
③目標のための組織ではなく、組織のための目標をつくりがち
④異質性や異端を排除しようとする集団文化
(同書80頁)
前提は変わらないということが、そもそもの前提になっているわけですから、それに異議申し立てをしようとすれば集団文化によって排除されてしまいます。「余計なことは一切言わず、ただプロセス改善にだけ突き進めばいい」と、私が会社でよく感じる空気です。
弱点といいましたが、何に対しての弱点なのでしょうか。それが、下のまとめになります。
①「ヒトと組織」の極めて柔軟な活用による自己革新
②「新技術」の開発による自己革新
③技術だけでなく「技術の運用」による自己革新
iPodやiTunesは、まさしくこの例です。携帯音楽プレーヤーは既に実現してしましたが、これにWEB上のiTunes Store を組み合わせることで利便性を向上。強力な差別化を実現して
いったのです。
個別の製品性能を高めることに集中していた日本メーカーが、あっという間にiPodに市場を奪われてしまったのは、そう遠くない過去の話しです。
【第2章の感想】
日本企業は変化に対応できないというより、常に下を育てることが重要視される文化があるため、それが革新性の足を引っ張っていると考えることはできないでしょうか。
本来なら、人を育てることとビジネスで成果を上げていくことは全く別次元のことなのですが、それが日本企業では同時に進行している。人を育てるためには、与える知識や知恵がなければなりませんが、それはやはり過去の経験から持ってくるしかありません。
そうなりますと、革新的なことをするのに必要な時間が少なくなってきてしまう。権限や責任が曖昧な企業風土と相まって、ますます古いやり方から抜け出せなくなる。
よく、海外では一度働きに出た人が、ステップアップを求めて大学に入り直すことが多いと耳にします。
私は海外事情については何も知りませんが、仮に、ビジネス=企業、人材育成=学校という形に、海外ではしっかり分けられているとするなら、ビジネス・人材育成=企業になってしまっている日本はそのぶん動きが鈍くなってしまっても不思議はないでしょう。
これを良しとするか、悪しとするかは、人によるのかもしれませんが、感情的には日本的やり方の方が、社会の底上げにつながっているという点で良いような気がします。
どうして日本人は危機的状況や時代の変化に弱いのか?その日本的思考法や組織論に踏み込み、次の失敗を生み出さないようにするための指南の書です。
第2章は、日本的思考は、なぜ変化に対応できないのか?
第1章 戦略性
第2章 思考法
第3章 イノベーション
第4章 型の伝承
第5章 組織運営
第6章 リーダーシップ
第7章 日本的メンタリティ
※本書は、戦時中の日本軍の事例を取り上げて詳しく書いているのですが、ここではそういった部分は省き、ビジネスの場面に純化して話しを紹介していきます。
【「ゲームのルール変化」に弱い日本組織の仕組み】
日本組織の特徴
日本的思考の特徴は、一つのアイディアを洗練させていく錬磨の文化であると、本書では言っています。直感ですが、日本では、巧みの技や年長者の経験が重んじられる傾向があるようなので、間違いではないと思います。
この文化は、既存の知識を強化する学習、すなわちプロセス改善に重きを置くことが重要視されます。
「仮にプロセス=「過程、経過」と考えると、過程を洗練させる「プロセス改善」とはスタートラインとなる「思想・手法」を同じままに、その過程を最大限改良することで、結果をより良いものにしていく作業であるといえます。」(同書92頁)
では、接客販売をしているビジネスパーソンが売上を上げるために、「さらにプロセス改善で努力する」というだけでいいのでしょうか?
余談ですが、私の会社でも、売上を上げるために各地の営業マンを集めて「研修会」を開いてします。「他の人はどのようにしているのだろうか?」ということを学ぶことで、努力や改善の余地があることを気付かせるための場として、見事に機能しているように感じます。
日本組織の弱点と努力を無効化する仕組み
日本組織の特徴をあげてきましたが、ここでその弱点が明らかになります。
①前提条件が崩れると、新しい戦略を策定できない
②新しい概念を創造し、それを活用するという学習法のなさ
③目標のための組織ではなく、組織のための目標をつくりがち
④異質性や異端を排除しようとする集団文化
(同書80頁)
前提は変わらないということが、そもそもの前提になっているわけですから、それに異議申し立てをしようとすれば集団文化によって排除されてしまいます。「余計なことは一切言わず、ただプロセス改善にだけ突き進めばいい」と、私が会社でよく感じる空気です。
弱点といいましたが、何に対しての弱点なのでしょうか。それが、下のまとめになります。
①「ヒトと組織」の極めて柔軟な活用による自己革新
②「新技術」の開発による自己革新
③技術だけでなく「技術の運用」による自己革新
iPodやiTunesは、まさしくこの例です。携帯音楽プレーヤーは既に実現してしましたが、これにWEB上のiTunes Store を組み合わせることで利便性を向上。強力な差別化を実現して
いったのです。
個別の製品性能を高めることに集中していた日本メーカーが、あっという間にiPodに市場を奪われてしまったのは、そう遠くない過去の話しです。
【第2章の感想】
日本企業は変化に対応できないというより、常に下を育てることが重要視される文化があるため、それが革新性の足を引っ張っていると考えることはできないでしょうか。
本来なら、人を育てることとビジネスで成果を上げていくことは全く別次元のことなのですが、それが日本企業では同時に進行している。人を育てるためには、与える知識や知恵がなければなりませんが、それはやはり過去の経験から持ってくるしかありません。
そうなりますと、革新的なことをするのに必要な時間が少なくなってきてしまう。権限や責任が曖昧な企業風土と相まって、ますます古いやり方から抜け出せなくなる。
よく、海外では一度働きに出た人が、ステップアップを求めて大学に入り直すことが多いと耳にします。
私は海外事情については何も知りませんが、仮に、ビジネス=企業、人材育成=学校という形に、海外ではしっかり分けられているとするなら、ビジネス・人材育成=企業になってしまっている日本はそのぶん動きが鈍くなってしまっても不思議はないでしょう。
これを良しとするか、悪しとするかは、人によるのかもしれませんが、感情的には日本的やり方の方が、社会の底上げにつながっているという点で良いような気がします。
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