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社会の視点 主権の多様化・分散化と国家主権②

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国家に於ける主権(国家主権)国家の最高独立性を表す概念。対外的な最高権、対内的な統治権、最高機関としての地位を表す。しかし、こうした概念に囚われない主体・事態が大量に出現したことで、主権の分散化を唱える論者もいる。

 人間とは平等であり、平等であるからこそ、争いが絶えない。平等だからこそ生じる争いというジレンマに対処するために必要なのが「共通の権力」「共通のルール」であり、それがホッブズの唱える国家の必要性の根拠である。
 これとは別に、人間は平等であり自らを律する能力を持っているけれども、外部からの強力な侵害に対して、安全保障を実現し、平和な生活を実現する為には共同体を作ることに個人が同意する。このような考え方で国家の必要性を唱えたのがロックである。

 平等な個人が同意の下に国家を作り出したという政治思想に同意するならば、今日のテロ活動、経済・金融活動のグローバル化、国境を越える人・もの・金、地域主権への希求といった国家に拘束されない様々な活動の活発化は、今の主権体制、憲法体制への挑戦そのものでさえある。何せ、我々は国家に対して、自らが所属する政治グループや経済活動にとって都合のいいようにルールを改変させ、時として公共の福祉の向上を求め、時として公正を装いながら他者を出し抜き利益を得ようとしているのだから。
 とはいえ、平等な人間が「共通の権力」「共通のルール」を求め、それによって国家を成立させたという神話は、「今の主権体制ではなく、宗教や民族、地域に根ざした新しい国家体制・新しい主権秩序の樹立」という発想を排除していない。テロ集団が国家主権に挑戦し、NGOやNPO、果ては戦争に至るまでが国の主導権を奪って行く現状を見れば、今まで我々が考えていた国家主権は「多様化する主権の中の一プレーヤーに過ぎない」存在に成り下がっていると考えるのは自然のことだろう。

 日本国憲法では、主権は国民に存しているという国民主権を謳っている。また、実際の活動は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動することとしており、間接民主主制を取り入れている。
 国民は主権者だが、実際にその主権を行使するのは憲法や法律で定められた公的な機関である。ところが、国民の権利・権利意識が拡大して行くにつれ、「私の主権は私自身のものだ。私自身が主権者なのだ」という発想が生まれ、自分の利益と相反する国家の動きから距離を置くようになる。

 かつて小泉純一郎元総理は、構造改革を進める上で「国民の皆さんにも、改革の痛みを耐えてもらう」と明言した。同時期、若者を中心胃年金不払い問題が拡大し、道州制の議論も加速していった。こうした官民双方の流れは、「主権者は私自身」という発想を受けてのものとして考えるべきである。
 これは、「国民」と「国家」というものがそれぞれ独立した存在であり、国民は相対して存在する国家に対して、協力するか否定するかという選択肢を与えられているということを、図らずも示している。
 我々は確かに選挙によって国の代表を選んでいるが、我々の意図の通りに彼らが動くわけが無い。政治は政治のプロがその判断の下に行うべきであり、それが「代表」という言葉がしめすものだ。

 国民が自分の「権利」の保持者である「主権者」として行動して行くうちに、いつのまにか国家主権の存在が相対化・弱体化している。政治のプロである為政者がそのように判断した時、国家主権はその庇護下にある者、外国に対してではなく、自分自身を守るために行動を始めるようになる。

 それは時代によって強弱に波があるものの、半ば強引に進められた「特定秘密保護法」制定は、そうした動きの一部として捉えるべきであろう。
 他にもそうした動きは見られる。例えば、ほぼ全く報道されていないが、安倍政権は、自治体が制定を進めている「自治基本条例」と「住民投票条例」導入に待ったをかけている。自治体が地域主権を強化しているのに対し、国家主権がそれに待ったをかけているのだ。
 地域主権の強化は、地元住民が自分たちのためにルールを定める動きの一つだから、歓迎されるべきものである。しかし一方で、国家主権と私たち自身との間に強力な葛藤が待ち受けているということも忘れてはならない。
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