スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

世界をでっかく小さく〜イタリア旅行記〜⑦ ベネツィア記 パート2

IMG_5160.jpg
飛行機からベネツィア本島を見る。島が多いのがわかる。



 ベネツィア・サンタルシア駅に向かう電車は、浅い海の上を徐行しながらゆっくりと進む。
 どれくらい浅いのかというと、漁師が海の中で立って漁ができてしまうくらいのレベルだ。車内から濁った海を眺めていて、たまたま水面から人の上半身が出ているのに気がついたのだ。イタリアで犬神家の一族がブームだなんてことは聞いたことがないから、恐らくあれは漁師だったのではないかというのが、私の見解だ。
 ベネツィアは地理的に潟だから、潮が引けば人が入ることくらい簡単なのだろう。
 望月君に「この海、結構浅いね。」と話しを振ってみたが、彼は全く気がつかなかったらしい。
 おや、まさか私だけに見える自殺者の霊か何かだったのだろうか。が、私は霊の存在を信じてはいないので、これは望月君と私が全く別のところを見ていたということの証拠だろう。







サンタルシア駅は行き止まりの駅だ。
 ここに到着する電車は、当然全てが“サンタルシア行き”であるし、到着した後は、必ず折り返して再びイタリア半島に向かわなければならない。
 駅で切符を買って構内に入ると、いくつかのプラットホームが並んでいて、必ずそのどれかに電車が停車している。ホームの向こうには海があり、更にその先にイタリア半島があるという位置関係なのだが、肉眼ではイタリア半島までは確認できない。そのため、電車がまるで空に向かって行ってしまうかのような錯覚に陥る。
 ほんの一時であれ、日常から自由の身になれるのが旅だとするなら、この風景はまさしく旅の実感を与えてくれるものだ。

IMG_5079.jpg
旅情掻き立てるサンタルシア駅の風景



 電車を降りた我々は、駅前の売店で、水上バス“ヴァポレット(Vaporetto)” の乗り放題チケットを購入した。
 ヴァポレットは、ベネツィア本島を中心に運行されており、マルコ・ポーロ空港、ムラーノ島、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島等の島々を結ぶ。全部で22路線あり、ベネツィア観光になくてはならない乗り物だ。因に、このヴァポレットに乗船する際もチケットの打刻は必須だ。
 ヴァポレットを利用するメリットは、単純に離島まで行くことができるという点に限らない。
 例えば、サンタルシア駅から1系統に乗船する。
 この船は、ベネツィア本島を東西に分けるカナル・グランデを通ってリアルト橋、アカデミア橋、サンマルコ広場、リド島まで行く。各停留場は、ベネツィアの中でも観光客必見スポットの最寄りであるため、アップダウンが意外に激しいベネツィア本島内を直接歩くより体力と時間を大幅にセーブすることができる。
 夏のベネツィアは、やはり熱い。建物が密集しているから、風の通りが思いのほか悪いのだ。東京や大阪のヒートアイランド現象程ではないのだろうが、それにしても熱いことに変わりはない。しかも基本的に水辺の近くを歩くから、太陽の照り返しに絶えず身体をさらすことになる。女性にとって、紫外線の脅威も無視できないものとなるだろう。
 この点、水上バスだと、風が身体を通り抜けて行くから大変心地よい。椅子に座って風を感じながら、それでいて紫外線まで避けることができるわけだから、これを利用しない手はない。
 

IMG_5014.jpg

IMG_5087.jpg



 さて、私と望月君は、ヴァポレットでサン・ジョルジョ・マッジョーレ島にやって来た。サン・マルコ広場の対岸だ。

IMG_5047.jpg
サン・マルコ広場からサン・ジョルジョ・マッジョーレ島が見える



IMG_5123.jpg
サン・ジョルジョ・マッジョーレ大聖堂内部



 ここの鐘楼は展望台になっていて、ベネツィア全体からイタリア半島に至るまで、奇麗に見渡すことができるらしいということをガイドブックで読んだのだ。
 ベネツィア・オーバービューは、サン・マルコ広場にある鐘楼からでも楽しむことができ、実のところ、我々は前日のうちにそこを登っていた。
 にもかかわらず、我々は敢えて他の鐘楼からの眺望も楽しみたいという欲を持ってしまったのだ。カトリックの総本山バチカンを訪問しておきながら、何故、そんな欲深なことを考えるに至ってしまったのか。

 我々は、広場での鐘楼観光を終えた後、こう思ったのだ。

「サン・マルコ広場からの眺めは非常に感動した。でも、広場の中心の鐘楼からの眺めだから、その風景の中に鐘楼そのものが存在しない。鐘楼を含めた、完璧なベネツィア全体を見てみたい。それが実現できる場所は、この島しかない。」と。

IMG_5065.jpg

IMG_5070.jpg
サン・マルコ広場の鐘楼からの眺め(上・下)


 
 そう、目的はベネツィア全体の眺望だ。
 船が島に到着すると、我々の他に4組の観光客が同じく下船した。
 島全体は大変小さく、30分もあれば難なく一周できるだろう。まるで秘密基地にいるような居心地の良さを感じる。
 「小さいし、人が少ない!!」
 「サン・マルコ広場の対岸なのに、人が少なくて落ち着いてるなぁ。」
 なんて勝手な感想をとばしあった。
 実際、サン・マルコ広場は観光客で溢れかえっており、鐘楼ではエレベーターにたどり着くまでに30分も待たされてしまったのだ。

 一方、このサン・ジョルジョ・マッジョーレ島はその人でごった返す広場の目と鼻の先にあるにも関わらず、間に海があるという理由だけで、驚くほど人が少なく、よく言えば落ち着いていた。
 おかげで我々は1分も待つことなく、すぐに鐘楼を登るエレベーターにたどり着くことができたのだった。
 鐘楼からは、予想通りベネツィア本島の美しい姿を余すところなく眺めることができた。サン・マルコ広場は予想よりも遠くのところにあり、人がごちゃっとしている。本島の向こう側には、イタリア半島が見える。その裏側には、青々としたアドリア海がひろがっていて、前情報どおりの眺望だった。
 

IMG_5130.jpg

IMG_5129.jpg



 「前情報通りだった」というと、自称旅玄人から「ガイドブックに書いてあることをなぞるだけの旅をしているなんて、なんてもったいないんだ。」とありがた迷惑な説教が飛んできそうだ。
 まぁ、気持ちはわかる。
 旅のスタイルを確立している人にとって、ガイドブックに言われるがまま、駆け足で観光旅行をする人の薄っぺらさといったら見るに耐えないものなのだろう。
 とはいえ、そんなことを言う人は、空腹状態でやっとの思いでありつけたご飯と、間食した後に食べるご飯とでは、同じ味でも違って感じるものだということを忘れているのではないかと思う。
 多くの人は、昔見た写真や友人・家族からの話し、ガイドブックの紹介を見て、「ここはどんなところなのだろう?どんな風景なのだろう?どんな臭いがするのだろう?自分で実際に味わえたら、どんな感動があるのだろう?」と好奇心を持ち、そこにやっとの思いで絞り出したお金と時間を注ぎ込み、「エイやっ!!」とばかりに飛び込んで行くのだ。サラリーマンにとっての旅行は、それほど貴重なものなのだ。
 そして、たどり着いた先で「これがイタリアかぁ!!!」と身体が震える程感動できれば、もうその旅行は大成功だ。
 旅慣れた人は、一日三食では空き足らず、3時のお菓子や飲み物まで味わい、さらにそのそれぞれに強いこだわりを持ててしまう程楽しみ尽くしているから、他人の旅がつまらなく感じてしまうのだ。そんな気がする。
 形はなんであれ、旅は楽しめたもん勝ち。
 どうせ仕事ではない、所詮旅だ。
 他人の目は、日本に置いておけ。

 私と望月君は、30分程滞在した後、再びヴァポレットに乗り込みそのまま次の目的地へと向かったのだった。




関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

オススメ!!世界をおっきく小さくする読書

カテゴリ
プロフィール

FC2USER090356QPW

Author:FC2USER090356QPW
閲覧いただき、ありがとうございます。

当ブログは、「人生を味わい深いものにするためには、どんな情報や発想、知識が求められるのか」という疑問を元に、仕事、時事問題、国内外の旅行、教養といった分野からヒントをもらっていこうというのが主旨となっています。
また、英語での日本情報発信(主に私の英語の練習のためですけど)も行っていますので、「この英語、変じゃない?」という指摘も送って下さると助かります。

他に、仕事や旅行、生活を充実させるためのちょっとした情報もアップしていくので、どうぞ楽しんでいって下さい。

最新記事
仕事に役立つ情報を得る
最新トラックバック
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カウンター!
ご了承事項
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。