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世界をでっかく小さく〜イタリア旅行記〜⑦ ベネツィア記 パート1

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その日、ベネツィアの天気は雨だった。











世の中には、雨雲とともに生きているような人間が少なからずいる。
その人がいると、冬の北海道にさえ雨をもたらし、せっかく造った雪像を台無しにしてしまうこと請け合いである。きっと、水不足のアフリカや夏の四国に行けば大いに歓迎され、喜ばれることだろう。
地元の人が一族郎党引き連れて、雨乞いの儀式やら地元名産のうどんやらが振る舞われ、味が濃いだの薄いだのと文句を言おうものなら、「きっと、この要望の全てに応えることができたら雨の量が増えていくに違いない」と勘違的裏読みが作用して期待値がグングン上昇していくことだろう。
人生とは面白い物で、そういうときに限って、雨が振らなかったりする。

彼らとの旅行には大変な困難が待ち構えている。
行く先々で雨雲が「おう、遅かったな。」と先回りしていて、頼んでもいないのに雨を降らせてしまうのだ。
その結果、靴が浸水し、リュックがビショビショになり、衣服が水に濡れてどんどん身体を冷やしていく。ぺたぺたした気持ち悪さと風邪の前兆の両方を相手に、途方もない戦いを強いられることになる。

まったく、彼らも雨雲とそれほど仲が良いなら「俺がこの街にいる間は邪魔しないでね」と交渉の一つでもしてくれれば良いのに、そんなことなどまったくしてくれないのだから参る。

全国の雨男、雨女さんにお願いします。旅行中は、雨雲さんに控えていていただけるよう、交渉の程、よろしくお願い申し上げます。

【ベネツィアの旅は、雨から】

しかし問題は、私と望月君のどちらが雨男かということではなく、雨のベネツィアをどのように楽しむかということだった。

深夜に雷を伴う激しい雨が降り始めていたのは知っていた。その光と音で目が覚めたくらいだ。
とはいっても、この時は7月でイタリア観光のベストシーズン真只中だったから、朝には雨が止むのではないかという淡い期待があった。
ふっ、甘い。
雨は朝になっても降り続けていた。
深夜の雷雨と豪雨に比べれば「シトシト」状態だったので、幾分ましになってはいたが、それでも時折激しく降った。雨水が屋根や水面に激しく打ち付けて、隣の望月君の声をかき消してしまったくらいだ。
「まいったね。どうしようか。」
「ホテルで雨が止むのを待とうか?」
二人で打ち合わせを行う。
我々は、ホテルにいて雨が止むのを待つか、屋内を中心とした観光を行うか考えた結果、ホテルにずっといるのも何だし、屋内観光を行うことにした。雨が降っていれば、晴天時には長い行列に並ばなければならない場所も、すぐに入れるのではないかという期待もあった。
駅で切符を買い、電車でベネツィア・サンタルシア駅に向かう。
電車に乗る前に、打刻機で切符に打刻をしなければ多額の罰金が課されるため、そつなく打刻を済ませる。この辺の作業は既に慣れっこになっていた。
電車は時間通りにやって来た。海外の電車は遅れるのが基本だと思っていたが、案外そうでもないらしい。もっとも、この近辺は電車の本数が多いから、遅れたところで大して問題になりそうもなかったが。
雨、雨、雨といったが、それでも、我々は若干興奮していた。
目の前のイタリア人女性のスタイルの良さに…ではなくて(でも少し本当)、誰もが一度は足を踏み入れたいと願うあのベネツィアに行けるということに。
「〜〜〜〜〜サンタルシア〜〜〜」
アナウンスが聞こえ、ものの数分で電車はベネツィア・サンタルシア駅に到着した。

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ベネツィア・サンタルシア駅



【散策→雨宿り→散策→雨宿りの苦行】

駅に到着し、早速ベネツィア散策を始める。
「おお!!ここがベネツィア!!」
雨が鬱陶しいことに変わりないが、それでも憧れの地にいるということの興奮が勝る。
私は、頭の中で東京や大阪のリバーサイドやシーサイドを思い出していた。
コンクリートで固められた川岸とその脇にある鉄製の柵、ブロックが敷き詰められた遊歩道、その上を走る高速道路、濁りきった水等等、日本の水辺の面白みのなさはため息ものである。
もっとも、横浜や函館、小樽のような場所もないわけではないが、いかんせん歴史の長さと規模が大きく違うので比較対象とするのも気が引ける。
パシャ
パシャ
望月君がひたすらスマホのカメラで写真を撮っていた。
そういえば、望月君にとって今回の旅行は初めての海外である。五感の全てを通じて入ってくる情報の保存に余念がない様子だ。
「そんなに撮って、却ってデータが邪魔にならない?」
と聞くが、
「撮った写真はあとで整理するから問題ないよ。」
と軽い。
旅は一度に三度違った味がするものだが、彼の様子は食後のデザートを楽しみにしているといった感じであった。
二人とも、折りたたみ傘を持っていたからそれを広げた。

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橋を渡り、小道をずんずん進んでいく。
角を曲がるたびにGPSで現在地を確認しながら進むから、はっきりいって進みが遅い。また、地図で見ると小さいベネツィアだが、歩いてみるとそれなりに大きい上に、実際に見てみると煉瓦造りの建物が連なって迷路みたいになっており、どこを進んだら目的地にたどり着くのかが分からないのだ。
「周りの人についていけば?」と言う人もいるだろうが、それは晴れていればこそ有効な考え方である。
この日は、夜からの雨で人が散り散りであるという状況に加え、時々傘では太刀打ちできない程の強い雨が降るから雨宿りするしか方法がなくなる。道から人がいなくなってしまうのだ。それでも人のおおよその流れが見えれば良いが、道が迷路のように複雑なベネツィアの特殊性と初めての土地という不慣れな部分が絶妙に絡み合い、その流れもすぐに見失ってしまうのだった。
その後も、散策と雨宿りを繰り返す形でベネツィア観光は続いた。
雨が穏やかになれば歩き出し、雨が激しくなれば雨宿りをする。
ここに風が加わり、膝から下は濡れるがままの状況に陥っていた。特に酷いのは靴だ。靴が大いにその乾きを潤し、一歩を踏み出すたびに中から水がしみ出している。
気持ち悪い。
時々、小さな教会の椅子に腰を下ろし、靴を脱いで乾かしたりするものの、10分やそこらで乾くわけがない。サンダルで来れば良かった。それなら濡れても問題はないはずだ。

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サン・ジャコモ・リアルト教会 右奥の白い建物がリアルト橋



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リアルト橋を渡る。

訪問した時は改修工事を行っていたらしく、橋の全貌を見ることができなかった。

ベネツィアを東西にわける大運河を越えると、ベネツィア観光のハイライトであるサン・マルコ大聖堂があるサン・マルコ広場まであと一息だ。



私「あと少しでサン・マルコ広場だ!!」
望月君「おうぅ、ようやくだね。」
相変わらず雨が降り続いているが、まばらだった観光客が明らかに集中しはじめていた。傘と傘がぶつかって、傘のくぼみに溜まった雨水がはねながら下に落ちていく。そのまま地面まで落ちてくれればいいものを、デイバックや肩を経由してから落ちていくため、どうやら私はベネツィアの雨水に祝福されているようである。「水も滴る良い男」とは、この地では私のことらしかった。
ショーケースを見ると、ピザやパスタのイタリアングルメが目に入る。
そういえば、朝食は抜いて来たのだ。
「腹減って来たな。」
「俺もだ。」
「俺の方が腹減ってるし。」
「いや、俺だろ。」
「いやいや、俺だ。」
「はぁ?ふざけんなよ。」
「マジマジ」
 我々は、限界だった。
時計を見ると、日常生活でも空腹が意識され始める11時半になろうとしている。混雑を嫌がる人であれば、とっくにレストランに入っているタイミングである。
我々は、サン・マルコ広場に到着したら、観光より先に昼食をとることにした。
煉瓦の屋根をいくつか抜けると、建物の向こう側に背の高い鐘楼の一部が目に入った。上の方は他の建物で全く見えないが、赤煉瓦で造られたそれは、かの有名な大鐘楼である。上からは、ベネツィアの絶景を見ることができる。
人の波をくぐり抜けると、とたんに視界が開けた。

サン・マルコ広場だ!!

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我々は、とうとう到達したのだ!!
ベネツィアの核心部分に。
ベネツィアをベネツィアたらしめる場所に。

この感動は、どんな言葉でも言い表せないものだ。
初めての出会い、初めての感動、初めての興奮は、たった一度きりのものだ。心行くまで味わおう。

…その前に、とりあえず昼食だということで、我々は足早にその場を立ち去るのであった。




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オススメ!!世界をおっきく小さくする読書

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