起業の視点 【縮約】成功する起業家と成功しない起業家の違い
起業家の成功の秘訣は何か?
スタートアップ起業の業績に関する研究で、基本的な発見は「時間とともに容易になる」という一言に集約される。ビジネスは長く続けば続くほど、将来も長く続く傾向が高まることが研究から判明している。生存率だけではない。平均的なスタートアップ起業は、寿命が長ければ長いほど、利益率も上がっている。
どの産業で、ということも重要だ。
成功率を向上させるために重要なことは、もっとも望ましい産業を選べというアドバイスだ。正しい産業を選択することが成功率を高める。産業別の起業の四年間の生存率は、情報産業の三八%から教育産業や健康産業の五五%までと、十七%もの開きがある。売り上げ、雇用の伸び、利益率もまた、どの産業に属しているかによって異なる。一九八二年から二〇〇二年の間で、ソフトウェア産業がアメリカの成長企業上位五〇〇社に入る確率は、外食産業の六〇八倍である。
起業家は愚か者なのか。
典型的な起業家による意志決定は、ビジネスの成功の機会を実際には減らしている。いくつかの例を挙げておこう。
・ ビジネスは、株式会社より個人商店として立ち上げられる場合のほうが多い。しかし、株式会社は、発展速度、外部資本へのアクセス、生存率、売り上げの伸び、雇用の伸び、利益率など、個人商店より業績がいい。
・ 起業家は、パートタイムベースで始める。しかし、外部資本の獲得機会は、フルタイムで始める場合のほうが高い。
・ 九〇%以上の起業家がゼロからビジネスを始めるが、スタートアップは、他人のビジネスを買うほうがずっと失敗しにくい。
・ チームでビジネスを立ち上げたほうがうまくいく。
・ 多くがビジネスプランを策定しようとはしない。しかし、策定は、失敗の確率を減らす。
・ スタートアップ企業が、個人のお客に対して製品やサービスを販売するが、アメリカでもっとも速く成長した企業の九〇%は、企業を顧客にしている。
典型的な起業家は、スタートアップ企業にとってよくない結果をもたらす選択を、わざわざやっている場合が多いのである。
よりよい起業家になるための準備。よりよい起業家になるためのキャリアを積むことは可能である。
・ 学校へ行く。起業家として成功したければ、高校を卒業し、大学に行ったほうが、成功の確率はずっと上がる。大卒者によって創業された平均的なスタートアップ企業は、高校中退者によるものよりも二五%売り上げが多く、大学院修了者が創業した企業は、学部卒によるものよりも四〇%売り上げが多い。
・ 創業を急がない。平均的には、四十五歳から五十四歳の間で始めたビジネスは、三十五歳以下よりも業績がいい。誰かの下で働くことは、成功する起業家になる努力を邪魔するよりはむしろ助ける。創業前に誰かの下で働く期間が長かった起業家は、失敗する確率が低く、成長する可能性が高い。
・ 正しい創業の動機をもつ。動機の違いは、スタートアップ企業の業績に違いをもたらす。新たなビジネスは、しばしば、創業者の望みを反映する。誰かの下で働きたくないので創業した人たちは、自律性を求めがちなので、資金面でのサポートもあまり受けようとはしない傾向にある。
起業家の成功の秘訣は、多くの意見が存在するが、それらに惑わされてしまうことで、注意深く科学的な研究にもとづいた正しい情報を得ることが難しくなっている。しかし、これらの研究は現に存在する。
スコット・A・シェーン『〈起業〉という幻想 アメリカン・ドリームの現実』白水社 より
スタートアップ起業の業績に関する研究で、基本的な発見は「時間とともに容易になる」という一言に集約される。ビジネスは長く続けば続くほど、将来も長く続く傾向が高まることが研究から判明している。生存率だけではない。平均的なスタートアップ起業は、寿命が長ければ長いほど、利益率も上がっている。
どの産業で、ということも重要だ。
成功率を向上させるために重要なことは、もっとも望ましい産業を選べというアドバイスだ。正しい産業を選択することが成功率を高める。産業別の起業の四年間の生存率は、情報産業の三八%から教育産業や健康産業の五五%までと、十七%もの開きがある。売り上げ、雇用の伸び、利益率もまた、どの産業に属しているかによって異なる。一九八二年から二〇〇二年の間で、ソフトウェア産業がアメリカの成長企業上位五〇〇社に入る確率は、外食産業の六〇八倍である。
起業家は愚か者なのか。
典型的な起業家による意志決定は、ビジネスの成功の機会を実際には減らしている。いくつかの例を挙げておこう。
・ ビジネスは、株式会社より個人商店として立ち上げられる場合のほうが多い。しかし、株式会社は、発展速度、外部資本へのアクセス、生存率、売り上げの伸び、雇用の伸び、利益率など、個人商店より業績がいい。
・ 起業家は、パートタイムベースで始める。しかし、外部資本の獲得機会は、フルタイムで始める場合のほうが高い。
・ 九〇%以上の起業家がゼロからビジネスを始めるが、スタートアップは、他人のビジネスを買うほうがずっと失敗しにくい。
・ チームでビジネスを立ち上げたほうがうまくいく。
・ 多くがビジネスプランを策定しようとはしない。しかし、策定は、失敗の確率を減らす。
・ スタートアップ企業が、個人のお客に対して製品やサービスを販売するが、アメリカでもっとも速く成長した企業の九〇%は、企業を顧客にしている。
典型的な起業家は、スタートアップ企業にとってよくない結果をもたらす選択を、わざわざやっている場合が多いのである。
よりよい起業家になるための準備。よりよい起業家になるためのキャリアを積むことは可能である。
・ 学校へ行く。起業家として成功したければ、高校を卒業し、大学に行ったほうが、成功の確率はずっと上がる。大卒者によって創業された平均的なスタートアップ企業は、高校中退者によるものよりも二五%売り上げが多く、大学院修了者が創業した企業は、学部卒によるものよりも四〇%売り上げが多い。
・ 創業を急がない。平均的には、四十五歳から五十四歳の間で始めたビジネスは、三十五歳以下よりも業績がいい。誰かの下で働くことは、成功する起業家になる努力を邪魔するよりはむしろ助ける。創業前に誰かの下で働く期間が長かった起業家は、失敗する確率が低く、成長する可能性が高い。
・ 正しい創業の動機をもつ。動機の違いは、スタートアップ企業の業績に違いをもたらす。新たなビジネスは、しばしば、創業者の望みを反映する。誰かの下で働きたくないので創業した人たちは、自律性を求めがちなので、資金面でのサポートもあまり受けようとはしない傾向にある。
起業家の成功の秘訣は、多くの意見が存在するが、それらに惑わされてしまうことで、注意深く科学的な研究にもとづいた正しい情報を得ることが難しくなっている。しかし、これらの研究は現に存在する。
スコット・A・シェーン『〈起業〉という幻想 アメリカン・ドリームの現実』白水社 より
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